男性不妊 受診は夫婦一緒に         2023年 3月11日


(読売新聞 2023年3月3日の記事より引用)

男性不妊の検査や治療について、日本生殖医学会副理事長で、順天堂大浦安病院泌尿器科教授の辻村晃さんに聞きました。

――男性不妊の原因は。

「大きく分けて三つあります。一つ目が、精液の中の精子の数が少なかったり、動きが悪かったりすることです。二つ目は、射精や勃起がうまくいかないこと。三つ目は、精子は作られているが、精子の通り道が詰まっていて精液の中に精子がないことです」

――検査は。

「精子の数や動きなどを調べる精液検査が最も一般的です。そのほかに、ホルモンの値を調べる血液検査や、精巣の大きさや硬さなどの触診、陰のうにエコーをあてる超音波検査などがあります。精巣付近の静脈がコブ状に膨らみ、精子を作る機能の低下につながる代表的な病気『精索静脈瘤』は、精液検査や触診、超音波検査でわかります」


――治療は。

「精索静脈瘤の場合は、コブ状になった静脈を糸で結ぶ手術を行います。手術を受けた人の6~7割は精子を作る機能が改善し、妊娠率向上が期待できます」

「勃起不全には、バイアグラなどの治療薬があります。また、性腺刺激ホルモンなどの値が低いために精子を作る機能が低下している場合に用いる薬もあります。いずれも昨年4月に男性不妊の治療薬として保険適用されました」

「精液に精子が含まれない『無精子症』の場合は、精巣から精子を回収する手術が治療の選択肢になります。精子の通り道が詰まっていることが原因の場合は精子を回収できることが多いのですが、精巣の精子を作る機能自体に問題がある場合は、3~4割と言われます。精子が回収できたら、妻の卵子と受精させるため顕微授精を行います」

――精子を採取できないと子どもを持てませんか。

 「匿名の第三者から提供された精子を使った人工授精(AID)も、一部では行われています。ただし、その方法で子どもを授かった場合は、将来、子どもにAIDで生まれた事実をいつ、どのように伝えるべきかなどの問題が残ります。このため、専門医などに相談し、慎重に考える必要があります。このほか、特別養子縁組で養子を迎える方法もあります」

――課題は。

「日本生殖医学会が認定する『生殖医療専門医』は全国に973人いますが、そのうち、男性不妊の治療に習熟した泌尿器科医は71人と少数です。25県には一人もいません。学会のウェブサイトでリストを閲覧できます」

「不妊については、女性に比べ、男性の意識がまだまだ低い傾向があると思います。世界保健機関(WHO)の調査によると、不妊の原因の半数に男性が関わっているとされています。性生活を1年間続けても妊娠しなかったら、不妊の可能性があります。できれば夫婦一緒に受診してください」(加納昭彦)




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