男性不妊を語る 手術や流産 乗り越え     2022年12月19日


(読売新聞 2022年12月15日の記事より引用)

●知識身につけ、妻と二人三脚…手術や流産乗り越え

 〈奥さん本当にがんばってくれました(涙) お父ちゃんオムツ代稼ぐからなー!〉

10月下旬。
お笑いコンビ「フォーリンラブ」のハジメさん(38)は満面に笑みを浮かべ、第1子の娘の誕生をツイッターで報告した。
2018年に不妊治療の手術を受け、夫婦で支え、励ましながら向き合った妊活だった。

2歳上の妻とは14年に結婚。
交際中から3年ほどは自然に任せていたが、子どもを授からず、33歳の時に自ら精液検査を受けた。
結果は精子の運動率が平均値より低く、精密検査で、精巣から流れる静脈血の逆流などでこぶができ、精子を作る機能が低下する 精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)と診断された。

妻に問題は見つからず、この間、試みた人工授精もうまくいかなかったため、「静脈瘤を取り除く手術に懸けた」。
股の付け根にメスを入れた。
保険はきかず、費用は40万円弱。
麻酔が切れると激痛が走り、翌日は足をひきずるようにしながら相方のバービーさん(38)と舞台に立った。

だが半年後の検査で数値は改善しなかった。
「自然妊娠は難しいままという事実を突きつけられ、そこで初めてショックを受けた」。
結果を妻に告げると「じゃあ次のステップだね」と言われた。
「先を見据え、落ち込んですらいない感じで返してくれたので、僕もすぐに気持ちを切り替えられた」

顕微授精に取り組んだが、妻は度重なる注射の痛みに苦しんだ。
申し訳ない気持ちで体をさすっていると「自分が悪いとかじゃなくて、これは2人の問題。心配してくれてうれしい」。
妻の言葉で心が楽になった。



「自分もしんどい時はため込まず、妻の顔色や空気を読み、言えるタイミングで伝えることも大事だとわかった」

受精卵を子宮に戻す処置を重ね、1度は妊娠したが、10週目で発育が止まり、流産した。
「母子手帳ももらい、現実味があっただけにきつかった」。
そろって涙をこらえ切れなかった。
でも、やっぱりつらいのは命を実感した妻だ。
そう思い、先のことを話し合おうとしたら、今度はコロナ禍で不妊治療が半年近くできなくなった。
「それがいい意味で冷却期間になり、治療をいったん忘れられた」

自治体からの助成金が切れれば諦めるつもりで、最後を覚悟した6回目の顕微授精で娘を授かった。
ブログや雑誌などで歩みを公表し、現在は子育ての様子も発信している。
「検査の不安や手術の怖さもわかるが、治療の知識を早く身につけて、妻にどんどん歩み寄って」と男性側の意識改革を求める。

「不妊治療のゴールをどこに置くのか。諦めることや養子縁組の選択肢も含めて、全ては夫婦で決めること。会話を大切にして、足並みをそろえて取り組んでほしい」。
困難を乗り越えた経験を踏まえ、エールを送る。


●治療の男女、23%が関係悪化を経験

厚生労働省が昨年公表した調査によると、不妊治療を受けた男女1636人の23.3%が「夫婦関係がぎくしゃくしたことがある」と回答した。
治療の負担は女性に偏りやすく、夫婦間のコミュニケーションが欠かせない。

夫が不妊症で治療に臨み、昨春出産した東京都の30代前半の女性も、1年半で人工授精を10回ほど試みても妊娠できなかった頃は「つらくてイライラが募った」と振り返る。
転機は夫が自宅で開いたリモート飲み会。
「気遣うことしかできず、妻に苦労をかけて申し訳ない」。
友人に漏らした夫の言葉がたまたま聞こえ、思いを率直に話し合えるように心がけたという。

厚労省はホームページで、不妊や治療と仕事との両立に悩む夫婦向けに自治体が設置する「不妊専門相談センター」を紹介している。

その一つ、「おおさか不妊専門相談センター」(大阪市)でカウンセリングに応じる助産師の山本和江さんは、治療に苦しむ妻を気遣うつもりで「子どもがいなくてもいいのでは」とかける言葉はかえって傷つけ、妻は本音を話せなくなったり、孤独感に襲われたりすることがあると話す。
「まず必要なのは『頑張ってくれてありがとう』などの共感やねぎらいの言葉です」と助言する。





☆病院では精子と卵子の出会いの距離を確実に近づけてくれます。
(人工授精・体外受精・顕微授精)
☆アオキ薬局では精子と卵子の質を上げて元気にしていきます!