男性不妊 無精子症も治療の可能性       2023年 3月 3日


(読売新聞 2023年2月25日の記事より引用)

精液検査で精子がみつからない場合、「無精子症」と診断される。
告知されると多くの人がショックを受けるが、手術によって精巣から精子を採取できるケースもある。

結婚してから4年間、子どもができなかった茨城県の会社員、人見亮平さん(35)は2019年9月、妻(32)と一緒に近くの産婦人科クリニックを受診。
検査を受けて「無精子症」だと告げられた。

「子どもは作れないのかな」。
落胆しているとクリニックの医師から、男性不妊の治療に取り組む同県つくば市の筑波学園病院を紹介された。
受診すると、泌尿器科科長の山崎 一恭さんに
「無精子症は、男性の100人に1人の割合でみられると言われています。実はそれほど珍しい病気ではありません」と説明された。

無精子症には、精液の通り道(精管)が詰まっているために、精巣で作られた精子が外に出てこない「 閉塞性」というタイプと、精巣で精子が正常に作られていない「非閉塞性」というタイプの二つがある。


閉塞性は、感染症や幼少期に受けた 鼠径ヘルニアの手術などが原因の場合がある。
精子自体は作られているので、精子の通り道を再建する手術や、精巣内の精子を回収する手術を受ければ、ほぼ100%精子は採取できる。

一方、非閉塞性は原因不明のことが多い。
この場合の不妊治療では、精巣を切開し、顕微鏡で見ながらくまなく探して、微量の精子を回収する「マイクロ TESE(テセ) 」という手術がある。
この方法で3~4割の人は精子を採取できるという。

人見さんは、触診や男性ホルモンの値を調べる血液検査の結果、「非閉塞性」の無精子症と診断された。

さらに、精巣周辺の静脈がコブ状になり、不妊の原因となる「精索静脈瘤 」も見つかった。

検査結果を聞き、人見さんは「不妊につながる病気が二つもあると、さすがに無理かもしれない」と思った。
しかし、山崎さんが次に発した言葉は意外だった。

「非閉塞性無精子症と精索静脈瘤を合併している場合でも、二つの手術を行えば、子どもを授かれる可能性はありますよ」

人見さん夫妻は「ぜひチャレンジしてみたい」と即答した。
妻は期待に目をうるませていた。

19年11月、まず精索静脈瘤の手術をした。
この手術をしておいた方がマイクロTESEで精子を回収できる可能性が高まるという研究報告がある。

マイクロTESEの手術は、仕事の都合ですぐには行えず、9か月後の20年夏に受けることになった。(この項続く)




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