男性不妊について

男性不妊

WHO(世界保健機構)が男女別不妊原因を調査したところ、男性のみ24%・女性のみ41%・男女とも24%というデータが発表されました。
実に48%の不妊に男性が関与しています。
かつて不妊症と言うと女性側の問題とされがちでしたが、今では、男女ともに半々といわれています。



男性不妊の原因について

■乏精子症(精子減少症)
 精子中の精子濃度が薄いものを言い、WHOの定義では、精子数が1CCあたり2 000万以下を言います。
 自然妊娠の可能性が低くなり、精子濃度が500万以下になると自然妊娠の可能性 が著名に低くなります。

■精子無力症
 精子の運動能力に問題があるものです。
 射精後60分以内で、前進運動精子は50%以下、あるいは高速直 進精子25%以 下で、活動精子過小により、自然妊娠の可能性は低くなります。
 昔は、ほんの30~40年前までは精子量も十分あったそうです。
 現代人は体を使うことが減って数・運動率ともに下がったといえます。

■奇形精子症
 奇形の精子が多く、正常な形をした精子が30%に満たない場合を奇形精子症とい い、この場合受精が起こりにくくなります。

■無精子症
 精液中に精子が存在しない症状。
 精子が作られていない場合と、射精されるまでの過程で輸送されていない場合があ ります。
 精液中に精子が0でも精巣上部や精巣そのものに精子が存在すれば、体外受精を行 うことができます。

■性交障害
 男性不妊の約10%がEDであるといわれています。
 十分な勃起を得られずきちんと性交が出来ない状態をいいます。
 心因性な場合と機能的な場合があります。
 心因性の場合は難しいですが、機能的なものはいい薬もあります。
 また、しっかり歩いて足裏を刺激することで腎経に伝わり勃起力も上がってきます 。歩く時間が取れない方は、タケフミなども一つです。



 

男性不妊の漢方医学的解釈

①漢方では、精は「腎」が根本になっています。
「腎」とは現代医学の腎臓ではなく「腎経」のことを表し、腎臓・膀胱・骨・耳までを含みます。
その腎には「腎精」が蓄えられ、精子そのものと「真気」が出てきます。
腎は「真気と腎精」を持っていて遺伝的に親から受け継いだ精と、食べ物から得られる後天的な気(栄気)が合わさってできたものです。

つまり腎気の強さは、遺伝的な力と食べ物からの力とが半々で影響しあうのです。
最近多い加工食品では、後天的な気(栄気)は十分得られにくいのではと考えます。
精力が弱い・精子の数が少ない・運動率が悪いなどは、漢方では「真気と腎精」の不足=「腎虚」と言います。


②「腎虚」とは、「腎が虚ろ」と書くように腎精や真気・腎の陽気・腎の陰気などが足りない状態になっています。
齢を取ってからの「腎虚」は骨が弱りひざや腰を痛めたり、耳が遠くなったり、耳鳴りがしたりします。
若い時の「腎虚」はもちろん精力にはもちろん、精子のパワーにも影響します。
また、のどが渇いて水分を良く摂ったり、汗かきの体質になったりします。

若い時の「腎虚」は「寝不足・精液の出し過ぎ・腎精を補う食べ物の不足・ストレス」が主な原因です。


③現代医学では、若い時には精液はいくら出しても次々に作られ体に影響はないことになっています。
大間違いです。
出し過ぎは必ず体に悪影響を及ぼします。
前文で述べたように、のぼせや顔の赤み・汗かき・口渇などだけではなく、ニキビや肌荒れ・かさついてのかゆみの原因にもなります。
寝不足や過労によって「腎精」を傷めると、マラソンの高橋選手のように疲労骨折の原因にもなります。
それぐらい腎の精・真気を酷使すると体全体に広がるのです。
若くても出し過ぎすぎは毒になります。
週に2回までにしましょう。
そして腎の栄養になる「黒い食べ物」をしっかり摂りましょう。


④漢方薬を用いて腎精を補うのが一番早い方法になります。
腎精を補うことを「補腎」とよび、それらに効く生薬を「補腎薬」といいます。
補腎薬はほとんどの生薬が黒い色のもので出来ています。
また、動物生薬もたくさんあります。
鹿茸・海馬・カイクジン・牛黄などが代表です。
黒い生薬としては地黄・玄ジン・山茱萸・タンジン・シカジチョウなどがあります。
食べ物では、黒豆・黒ゴマ・わかめ・ひじき・のり・栗などが腎の栄養になります。
同時にしっかりとカルシウムを取りましょう。
「腎は骨を司る」とあるように、カルシウムはとても大切な人の栄養になるのです。
これら漢方薬と食べ物を合わせて、「腎精」を補うことで、精子にも若さと元気が出てきます。


⑤男性不妊の場合、このような補うことを中心とした漢方薬を使うところがほとんどですが、アオキ薬局では補い半分、解毒が半分です。
男性の場合、これらが不足しているだけではなく、冷たいものの摂り過ぎや濃いものの摂り過ぎによって「腎経」に負担がかかって「腎精」に影響が出ていることが多いのです。
そういう方の漢方薬は腎経を掃除することで、精子の運動率が格段に良くなります。

そのあたりをしっかりとみて、皆さん体質に合わせてお世話させて頂いています。