コロナ新薬 リスク低減策焦点に         2022年 4月19日


(山陽新聞 2022年4月13日の記事より引用)

塩野義製薬の新型コロナウイルス飲み薬は、動物実験で胎児に骨格形態異常を引き起こすことが判明した。
手軽に使用できる国産の飲み薬が実用化されれば、医療逼迫などの問題が解消される可能性があるため、期待は大きい。
だが丁寧に有効性や安全性を審査で確認することも重要になる。
専門家は「どこまで薬の効果が安全性を上回るかや、管理方法によってリスクを下げられるかが焦点になる」と指摘する。


●前のめり感

「実用化されれば軽症者への治療の選択肢が広がる」。
後藤茂之厚生労働相は3月下旬、承認された場合に塩野義と100万人分の購入合意をしたと公表した後、期待感を口にした。

オミクロン株による流行「第6波」で岸田政権は、医療体制の強化とワクチン接種、治療薬の3本柱で臨む構えだったが、いずれも後手に回り感染拡大を抑え込めなかった。
軽症者向けの飲む薬は、米メルクの「モルヌピラビル」と米ファイザーの「パキロビッド」の2種類が使えるようになったものの、輸入に頼っている事情から供給不安も顕在化した。

こうした背景を踏まえ、塩野義の飲み薬に対しては、自民党の甘利明衆院議員が2月、ツイッターに「日本人対象の治験で副作用は既存薬より極めて少なく効能は他を圧しています」「石橋をたたいて渡らない厚労省を督促中です」と投稿するなど、政治の”前のめり感”が目立った




●慎重に議論

しかし、胎児への影響が判明したことで、審査ではより一層、慎重に安全性と管理方法の議論が求められそうだ。

同様に催奇形性が報告されているモルヌピラビルを巡っては、国内で妊婦の服用が禁忌になり、米食品医薬品局(FDA)は「他の治療手段がない患者に使う」と限定的に投与する方針を示した。

また、安倍政権下で一時注目が集まった抗ウイルス薬「アビガン」も動物実験で催奇形性が報告されており、昨年まで行われた「観察研究」では、医師の管理下で服薬管理をすると定められていた。
だが、妊婦が服用したケースも発生。
薬害オンブズパースン会議は「審査報告書で実際の運用は非常に困難との指摘があり、実際に問題が出ている」と追求する。


●有効性データ

塩野義は条件付き早期承認制度の適用を求めているが、その前に有効性に関するデータをもう少し出すべきだという声もある。
塩野義が公表している治験結果によると、主要評価項目のうち、薬を5日間投与したグループではウイルス量は減ったが、最も重要な発熱や吐き気など12の症状を総合的に改善する効果ははっきりと確認できなかった。

今後の審査について薬事承認を担う医薬品医療機器総合機構(PMDA)の関係者は「一般的に症状を緩和する効果が統計学的な分析で確認されないと承認は難しい。妊娠検査や残った薬の管理方法なども焦点になるだろう」と指摘する。







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