妊婦の口腔ケア 胎児守る            2023年10月24日


(読売新聞 2023年10月11日の記事より引用)

「歯の健康が安産につながります」

神奈川県海老名市の秋月麻子さん(36)は2人目を妊娠中の2018年10月、同市内のベル歯科医院で、歯科衛生士からそう教わった。

その少し前、市から母子手帳の交付を受けた際、妊婦が対象となる歯科健診の券を渡された。
無料で口の中の状態をチェックしてもらえると知り、自宅からほど近い同医院を受診した。

妊娠中は、口の中のトラブルが起きやすい。
歯周病は悪化のリスクがある。
女性ホルモンの分泌がさかんになり、歯肉(歯ぐき)など歯周組織の炎症につながる。
さらに、つわりによる吐き気などで歯磨きがおっくうになれば、細菌の塊であるプラークがたまりやすくなるからだ。


秋月さんは当時妊娠23週。
特に気になる症状はなかったが、健診の結果、初期の歯周病だと分かった。
歯周ポケットの深さを測る専用器具を歯肉にあてると、血がにじみ出て炎症が確認できた。

歯周病は、胎児に影響を及ぼす。
1996年、米国で、歯周病の妊婦は、妊娠37週未満の早産や、2500グラム未満の低出生体重児の出産となるリスクが、そうでない妊婦と比べ7・5倍になるとの報告が出た。

以降、国内外の研究から、口の中の炎症が作り出す物質により、子宮の収縮を促す物質が増えて早産を引き起こすことや、歯周病の原因となる細菌が血流に乗って胎盤に届き、羊水や羊膜に感染し、胎児の発育が遅れることが分かっている。

「おなかの赤ちゃんを守らないと」。
秋月さんは同医院でプラークや歯石を除去する治療を受け、歯磨きのコツを学んだ。
2019年3月、妊娠41週で出産した。
体重3060グラムの元気な女の子だった。


その後、3人目を妊娠、出産した。
子育てに追われる毎日でも、家族5人で定期的に同医院で健診を受けている。
「妊婦健診は、予防に取り組むきっかけになりました」と振り返る。

妊婦の歯科健診は、つわりが落ち着いてくる妊娠5~7か月(16~27週)ぐらいが適切とされる。
同医院院長の鈴木彰さんは
「健診で初めて歯周病の怖さを知る妊婦は珍しくありません。本来は、妊娠に向けた健康管理の一つとして、子どもを授かる前に歯科に通って口の中をきれいにしておくことが望ましい」と話す。

妊婦の歯科健診は、国が示す健診項目には含まれず、一部の市町村が独自に助成を行っている。
母子の歯科保健に詳しい静岡県立大短期大学部教授の仲井雪絵さんは「妊娠期の 口腔こうくう ケアは、生まれてくる赤ちゃんのむし歯予防にも役立ちます。
どこに住んでいても、妊婦が歯科を受診しやすい環境を整えることが求められます」と話している。



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