黄体機能不全

黄体機能不全(LPD)とは

黄体とは、卵巣で成長した卵胞から卵子が排出した後に変化してできるものです。
黄体からは、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)といったホルモンが分泌されています。
この黄体からのプロゲステロンとエストロゲンの分泌不全により、子宮内膜の分泌性変化が完全に起こらないもの、または子宮内膜が適正に変化していない状態を黄体機能不全といいます。

黄体機能不全は単体ではなく、子宮内膜症・高プロラクチン血症・黄体化未破裂卵胞症候群(LUF)などを併発する場合がよくあります。
基本的に排卵はありますが、着床障害や流産の原因となる場合もあります。
不妊患者の約10%にみられます。


基礎体温表の特徴は
 ・高温期(36.7℃以上)が10日未満
 ・高温期と低温期の差が0.3℃未満
 ・高温期の途中で低温に落ち込む
 ・低温期から高温相への体温上昇がだらだらと階段状に上昇する
などです。



薬剤師青木からのメッセージ

黄体機能不全は、まずホルモンの内分泌異常、視床下部・脳下垂体・卵巣のバランス、そこに子宮内膜の機能異常が関係しているとみられています。
漢方的には、脾と腎と生殖器の関係と考えます。
卵巣で卵胞から卵子が排卵された後、変化してできるのが黄体です。
ここから黄体ホルモン(プロゲステロン)とエストロゲンというホルモンが分泌されます。
この黄体ホルモンは体温を高温に保ち、かつ赤ちゃんのベッドになる子宮内膜の厚みを作る役目もしています。
ベッドの厚みがあり、フカフカであってこそ受精卵は着床しやすくなりしっかり育つのです。

ところがこの黄体ホルモンが十分分泌されないと、ベッドづくりがうまくいかないのです。
内膜が薄くなったりするのです。

漢方薬はまず「腎陽虚」を考えます。
「腎」は受精卵の成長・発育、生殖器の変化に深くかかわっていると考えられていて、ここが「虚」という虚ろになると働きが悪くなるために起こると考えられています。
その他にも次のような体質が重なっていることがあります。

●肝鬱気滞ー疏泄(そせつ)といわれる肝の気の巡りが落ちて自律神経系に影響している
●瘀血(おけつ)-末梢での血の巡りが悪くなっている
●血熱(けつねつ)-寝不足や慢性の疲労などで血分に熱がこもったもの
●脾虚(ひきょ)-消化が悪くなっている・食べた物を血に変える働きが鈍っている

お客様によっては一つだけでなくいくつもの原因が重なっていることもあります。
それぞれの体質に合わせて処方していくことが大切になります。