子宮頸がんワクチン 情報提供が接種増の鍵   2021年11月19日


(山陽新聞2021年11月13日の記事より引用)

●相談体制構築も課題

子宮頸がんなどの原因となるヒトパピローマウイルス(HSP)の感染を防ぐワクチンの接種について、厚生労働省の専門部会は12日、2013年以降中止していた積極的な接種勧奨の再開を決めた。
接種の現場からは歓迎の声が上がる一方で、接種する人の増加に伴って副反応などの症状を訴える事例も増える可能性があり、相談体制の構築も課題となる。
接種率の向上には、安全性への不安感の払拭につながる情報提供や、定期接種対象者への周知が鍵となりそうだ。

●2か月で中止

「やっと再開される」。
横浜市で婦人科の医院を営み、接種に関わってきた産婦人科医の植田啓さんは、接種勧奨の再開決定を受けて喜びをにじませた。

ワクチンは09年に承認。
13年4月には、小学6年~高校1年の女子を対象に定期接種となった。
だが接種後に全身のしびれなどを訴える人が相次ぎ、厚労省は2か月後、積極的勧奨を中止した。

勧奨の中止後、植田さんの医院では接種者は一時ゼロとなった。
定期接種の予約が再び入るようになったのは中止から4年後のことだ。
ある保護者は「無料(定期接種)ではなくなったと思っていた。」と述べた。

定期接種であることが周知されていない事実に触れ「正しい情報を伝えることが重要だと感じた」と植田さん。
院内で説明の場を設けると、接種者は徐々に増えた。
経験を通じて「ワクチンへの不安や疑問を払拭し、安全性を理解してもらうには時間をかけた説明も必要だ」と説明する。



●診断増加傾向
今回、勧奨再開に転じた背景には、有効性を示す大規模な研究データが蓄積されてきたことが大きい。
昨年、167万人の女性を対象にしたスウェーデンの調査で、17歳より前に接種した女性は発症リスクが88%低下したとする研究結果が発表され、注目を集めた。
今月発表された研究によると、英国でも接種による効果は年齢が上がるほど下がることも分かってきた。

HPVワクチンの啓発団体「みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」が今年8月に高校1年の女子を対象に行った調査によると、HPVワクチンを接種した人は14%だった。
1%以下にまで低下していた時期に比べると上がってきているものの、勧奨中止前の約70%まで接種率を回復させるのは容易ではなさそうだ。

国内では年間に約1万人が子宮頸がんと診断され、20~30代を中心に増加傾向にある。
一方でワクチン接種率の高いオーストラリアでは28年に撲滅されるとの見方もある。


●寄り添って

ワクチンへの偏見から接種を控える人がいる一方で関心が無い人も少なくない。
また、無料で接種できることを知らない人が相当数いることも懸念されている。

HPVプロジェクトの代表で産婦人科医の稲葉可奈子さんは
「積極的勧奨が再開すれば接種を検討する人も増えるだろう。その際に、保護者や本人の不安に応える丁寧な情報提供が大切だ」と強調。
接種後に気になる症状が出た場合には「因果関係の有無にかかわらず、その症状が改善するよう寄り添って対応することが重要だ」と話している。




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