不妊に関する用語 か行

・カウフマン療法

生理不順や無月経の人が、正常な月経周期を人為的に作り出すための治療法です。
低温期にあたる時期に、卵胞ホルモン、高温期にあたる時期に、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを投与します。
また、体外受精前に卵巣を休ませたりする時にも使われます。



・下垂体

脳の司令塔「視床下部」からの連絡を受け、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)を分泌します。
そしてFSHとLHが今度は卵巣に働きかけて、卵胞発育と排卵を促すエストロゲンとプロゲステロンが分泌されます。



・基礎体温(BBT)

朝、目覚めて行動を開始する前の安静時(基礎代謝のみ)の体温のことです。
基礎体温は、月経期・卵胞期・排卵期・黄体期の4つの周期のホルモンバランスの目安となります。
妊娠すると高温相が続きます。



・機能性不妊(原因不明不妊)

不妊症の検査で異常がないにもかかわらず、その後も妊娠に至らないことです。



・ギフト(GIFT)

配偶子卵管内移植のことです。
体外で精子と卵子を混ぜ合わせ、受精する前の状態で卵管の先に戻す方法をいいます。
卵子と精子が自然な環境に近い卵管内で受精し、発育胚となるため、体外受精よりも妊娠率が高いと言われています。手術入院が必要です。



・クラミジア感染症

性行為感染症の1つです。
感染すると卵管や精管などに炎症を起し、不妊や流産の原因になることがあります。



・クロミッド

排卵誘発剤クロミフェンの商品名。
経口排卵誘発剤をクロミフェン製剤といい、その中でもクロミッドはもっとも広く処方されている薬です。
クロミッド以外に、セロフェン、オリフェン、フェミロンなどがありますが、どれも同様の効果です。
卵巣からの卵胞ホルモンの作用を抑えることで、卵胞刺激ホルモンを増やし、排卵を促進させる働きがあります。
子宮内膜が薄くなる、頸管粘液が減少するという副作用があり、これらの副作用は妊娠の確率を下げる要因となりますので注意が必要です。



・頸管粘液

子宮体部と膣をつなげる「子宮頸管」から出される分泌物です。
排卵期になると、卵胞ホルモンの作用で増加し、精子の移動を助ける役割があります。



・頸管粘液検査

不妊症の基本検査のひとつ。
注射器にて頸管粘液を採取し、量や粘り気・結晶形成を調べることで排卵日が近いことを予測します。
排卵が近づいても多くならない場合は、頸管因子による不妊原因が考えられます。



・経膣超音波検査(経膣エコー)

不妊症の基本検査のひとつ。
膣内に超音波断層装置を挿入し、子宮や卵巣の状態をモニターに映し出して確認します。
子宮筋腫、子宮内膜症などの病態や、子宮内膜の厚さ、卵胞の発育状態、排卵などの確認を行います。



・顕微受精(ICSI;卵細胞質内精子注入法)

人為的に受精させることです。
顕微鏡で卵子を見ながら、細いガラスの針で1個の精子を直接卵子の中に注入し受精させます。
乏精子症や無精子症でも精巣・精巣上体より採精し、精子が見つかれば実施可能です。



・抗精子抗体

抗精子抗体は、精子にアレルギー反応を起こして「自己抗体」を作り出してしまうものですが、男性にも女性にも出現する可能性があります。
精子と抗体が結びつくと、精子の受精能力を低下させたり運動能力を阻害したりします。
抗精子抗体は、子宮頸管粘液に発生しますが、子宮腔、卵管内、卵胞液内にも出現します。



・高プロラクチン血症(乳汁分泌ホルモン)

プロラクチンとは、出産後に乳腺を刺激して乳汁を出すホルモンのことです。
血液中のプロラクチンの値が正常値より高い状態になると、月経不順や排卵障害を引き起こし不妊の原因になることがあります。
向神経性薬剤である胃潰瘍の薬や抗ヒスタミン剤、精神安定剤などの服用により、プロラクチンの分泌が促されることがあります。